ある世界の、日本とよく似た国「神舞国」。
―ある日の朝、広川家にて―
「うーん・・・あ、兄さん、おはよう。いつも早起きだね。」
カズが、寝室のある2階から降りてきた。シュンは、リビングでソファに座ってテレビを見ていた。
「あ、カズ、おはよう。・・・あれ、見てみ。」
そう言うと、シュンはテレビを指差した。
どこかの海の上で、飛行型マキナと、鳥形キメラが戦っている映像が映し出されていた。
「あれ、この国のすぐ近くの海だって。この分だと、奴等がこの国に上陸する可能性もあるってよ。」
「え?でも、この国って、戦争はしないって決められてるはずじゃない?」
「奴等には、そんな事はお構い無しなんだろう。全く、迷惑な話だな。」
シュンは、やや憤慨気味にそう言った。
カズたちの声で目が覚めたのか、ペットの犬も近寄ってきた。
黒いラブラドール・レトリーバーで、まだ子犬である。
「おはよう、ティム。お前はいい子だな。奴等と違ってさ。」
溜め息を付きながら、シュンが言った。
「あれ?そういえば母さん達は?」
やけに静かな事に気付き、カズが言った。
「ああ、置手紙があってさ、特別な仕事があるからって、二人とも早めに家を出たんだって。」
ふーん、とカズが返事をして、何かを思い出した。
「あ、そうだ。僕も生徒会の仕事で、早めに家を出るから。」
「そうか。生徒会長、大変そうだな。」
「まぁね。今の時期は、特にね。」
カズの通う中学では、もうすぐ文化祭があるということで、生徒会メンバーはかなり忙しい日々を送っている。
簡単な朝食を済ませると、カズは学校へ向かった。
「さて、と。俺もそろそろ準備するかな。・・・コイツ等、まだこの国には来ないよな・・・?」
シュンはテレビの画面を見てそう言うと、電源を消した。
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