―カズの通う学校、「篠川第一中学校」生徒会室にて―
「えーこれより、文化祭で行う劇の内容を決めたいと思います。」
生徒会長であるカズが、始めのあいさつをした。
「何か良い案がある人は、挙手をお願いします。・・・あれ?そういえば、リョウタがいないけど・・・?」
春井亮太(通称「リョウタ」、評議委員長)の席が、なぜか空いていた。
「おいユキ、ちゃんと連絡したんだよな?」
カズは、評議副委員長であるユキに、臨時で生徒会を開く事をリョウタに伝えるように、昨日言っておいた。
「ちゃんと伝えたと思うけど・・・って、あっ!・・・・・忘れてた。」
生徒会メンバーの全員から、おいおい、何やってんだ、という声があがった。
「全く、肝心な所でミスするんだからな、お前は。気を付けろよ。・・・まぁいいや、後でしっかり、ここでやった事をアイツに言っとけよ。」
はい・・・と、落ち込んだ様子でユキが返事をした。
「・・・えー、再開します。何か良い案がある人?」
はい、と真っ先に手を挙げたのは、ちょっと「天然」な、広報委員長の戸田栄治(通称「エージ」)だった。
「今話題になっている、マキナとキメラの戦いを劇にするのがいいと思います。・・・ってあれ?皆どうしたの?」
エージの意見で、生徒会室に沈黙が訪れた。
「エージ・・・お前、ちょっと空気読めよ。奴等がいつ攻め込んで来るのか分からないって時に、不謹慎だろ。・・・大体、どうやって劇にするんだよ?」
カズの真っ当な意見に、エージは、はっとして、うつむいた。
「ごめんなさい・・・。気を付けます。」
どんどん空気が悪くなっていく生徒会室を、どうにかしようと思ったのか、ユキが突然手を挙げた。
「あの・・・オペラをやる、というのはどうかな?難しいけど、その分インパクトがあるし、感動も大きいと思うんだ。」
「オペラか・・・。良いんじゃないか?皆、どう思う?」
おお、良いね、賛成、という声が全員からあがった。
「よし、決まりだな。それじゃ次に、どのオペラをやるか・・・・」
カズがそう言いかけたとき、突然、町中にサイレンが鳴り響いた。
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